多胡碑

昨日、広域指定暴飲暴食団青汁会の構成員に拉致られて、ヘルドライブに行く破目になった。


「んで、何処行きたい?」


決めてねえのかよ!
特に目的も無く、単に車を日帰りで転がしたいらしいので、ワシの我侭で多胡碑(たごひ)に行ってもらった。


多胡碑とは、和銅4(711)年、上野国に「多胡郡」が設置されたことを記念して建てられた石碑である。現在の群馬県高崎市吉井町(旧・多野郡吉井町)にある。
地元では昔から伝説上の豪族「羊太夫」の墓として信仰されていた。現に碑文には、多胡郡の支配を「羊」と云う人物(?)に任せると記されている。
歴史、考古学、書道史上で貴重な遺物であり、那須国造碑(栃木県大田原市)、多賀城碑(宮城県多賀城市)とともに日本三古碑の一つである。


杉並区から約2時間、吉井町に到着。
さて、正直ワシは全然期待していなかったのだ。この手の遺跡は、詰まる所、「ここにありますよ」ってだけで、別段遺物は直接見れない場合が多い。
勿論、全く観光地じゃないので、そういうサービス精神には全く期待していなかった。


車を停めて、まず多胡碑。

案の定、遺物保存の為にフードがかけられ、直接石碑は見れない……と、思いきや、前面はガラス張りだし、スイッチを押すと音声案内と共に照明が点き、拝観には何ら支障が無かったりする。きちんと金石文まで読める。

次に、多胡碑の裏にある多胡碑記念館。入館料200円。
これも全然期待していなかったのだが、非常に展示がしっかりしていてびっくりした。
碑文の書道史上の価値(大陸では失われていた字体だったりする)、多胡碑と古代群馬の関係、江戸時代の多胡碑研究史と多方面からアプローチされ、大変工夫の凝らされた展示だった。


200円のワリには楽しめた。いや、群馬県の本気を見せられた博物館と言ってもいいだろう。
建物だけ立派で古道具置いているだけの郷土資料館とか、歴史と規模に胡坐掻いててけとーに年代順に羅列しているだけの博物館や寺の宝物館はもっと見習って欲しい。
歴史ってのはそこにあるモノじゃない。歴史的意義を見出し、評価することで初めて正統な歴史となるのだ。だと云うのに内地人の●●●どもは!!って、松邦神社の、赤飯に甘納豆入れる地方の野蛮人が言っていました。


さて、博物館を一巡して退去しようとするワシら一行。受付前のミュージアムグッズのショウケースに目が留まった。そこでワシに囁く悪魔(青汁会若頭)が一人。


「なぁ、これ買っちゃえよ。お前にぴったりじゃんか」


逡巡するワシ。
……確かにこれは、面白い土産だが……!! これをどうすれと……!





ミニ多胡碑(2500円)

言うまでもなく、買ってしまった。


試しに、乳神様神像と比較。結構でかい。

まさしく「ミニにタゴ」とかやかましいわ。


アクリル製だろうと思ったら、手渡された時にかなりの重量を感じ、思わず「アレ? 石みたいに重い?」とか口走ってしまって、受付のおばさんに「そりゃ石ですからー」とかマヌケな遣り取りをしたこととかは永劫の秘密。
しかも多胡碑と同じ安山岩の石材を使って地元の石屋が造ったとか、そんなこだわり誰も求めてねえよ! ……などとまるごと自分に跳ね返ってくる言葉を呟いたことも秘密だ。