コピー誌の訂正と真の後書き

すげーどうでもいいと思われるかも知れませんが、コピー誌『南北朝時代DREAM C CLUB』で(ワシには)致命的な間違いを発見したので訂正。
5頁「登場人物の比較」の章で、

野洲判官(やすはんがん)
 羽鳥王に仕える近江国野洲郡の地頭。『ドリームクラブ』でプレイヤーにお得情報を教える友人・ヤスに相当する。
 瀬田橋の戦いで羽鳥王の身代わりとなって討死に。近江国野洲郡の兵主大明神(滋賀県野洲市兵主大社)となる。


と、ありますが、コイツヤスじゃねえ! シゲだった……!
グラ無しの脇役とは云え完全に名前間違うとか、「貴様、パパとママのピュアが足りなかったのか?」などと軍曹に叱責されようと返す言葉が見つからない。
ピュア紳士にあるまじき不覚、本当に申し訳ございません。お詫びして訂正します。つーかヤスって誰だよ。ヤスって。


間違ったワシが言うのもアレだが、すげーどうでもいい。
だって偽書だからなあ。直すにしたって、ワシの匙加減で帳尻合うんだよなあ。
野洲判官」に「シゲ」っぽい名前追加するだけで良いんだよ。重政だろうが重信だろうがシゲコデラックスだろうが。


一応言っておこう。
今回のコピー誌は、後書きやこのブログでも散々書いたように真っ赤な嘘である。
しかし、面倒なことに全部が全部事実なのだ。
神道集』と云う文献が実在し、時間軸と事実を破壊したあんなノリの神道文献なのは事実だ。
鳥海山が古代から崇拝された山であることも事実だ。
十善女体権現の名の考察・解説に引用した他文献の記述、『日本書紀』などに見られる出羽の古代史も事実だ。
室町時代の『大日本国一宮記』では、今と鳥海山大物忌神社の祭神が違うことも事実だ。
「白鳳」と云う私元号、羽鳥王のネタ元になった蜂子皇子の羽黒山開基伝説、日本海交易の存在、売春の宗教的意義の議論など、全部実在する。
完全な嘘と云えば、『沙石集』に「尾籠ナル本地問答ノ事」って説話があるとか、「豊岡大明神」って名の神とか、鳥海山の開基になった羽鳥王って人物とか、「出羽鳥海闇部権現縁起」なんて説話あるとか、それが『神道集』に収録されているとか、「鳥海闇部十善女体権現」なんて失われた神が昔いたとか、それらが『ドリームクラブ』のネタ元になったとか、それぐらいである。
充分過ぎだな。


今回の目的は「たまには二次創作がしたい」と云うのもあったが、『ワルイコの倭姫命世記』に引き続き「中世の宗教文献の紹介」である。
恐らく神社や神話に興味がある者なら、まず『古事記』『日本書紀』に手を出すだろう。そこから『出雲国風土記』や『古語拾遺』など、他の古代の文献に手を出す者もいるだろう。
それらの文献はリアルタイムの宗教観念を記録したものである。リアルタイムでなくとも、奈良〜平安初期にかけての、古代の宗教観を反映させたものである。ところが、これが中世になるとどんどんオカシイ方向へ行くのだ。史実との整合性が、大小どこかおかしいのだ。
明らかにきちんとした文献をコピペしているのに、都合の良いように魔改造――するぐらいマシで、権威付けの為に歴史で有名な物を持ち出しているが、史実をガン無視したりと、非常にカオスなのである。
それは、新時代に創唱された「新しい神話」なのだ。神仏習合と云う神観念の変化、一方で神道と仏教の対立、識字率の上昇・紙の低価格化による記録の増加・多様化、宗教勢力の利権争い、朝廷と幕府と云う権威と権力の分離……、そんな時代の断層に生まれた神話である。
そんな記紀神話なんぞ比べ物にならない、カオスでルール無用な神話を見せる為に、おっぱいがぷるんぷるん揺れるゲームを介して表現してみたのが今回のコピー誌である。


楽しめたのなら幸い……なんだが、中世カオス文献とドリクラ、どっちにも興味があるヤツなんざそうそういねーっつーの。
オレだって同じドリクラ本あったら、小説でさえない得体の知れない偽書よりエロマンガ買うわ。
でも30部全部ハケたからな……、こんな需要もあるとは思ってもみなかったわ……。