逆転サヨナラ頭部危険球

昨日、麗澤大学東京研究センター(新宿アイランドタワー)で皇室継承の伝統文化についての講演があった。
講師は元・宮内庁職員。なかなか話を聞ける機会は無い。さぞ千代田の森の珍しい話が聞けるのだろう。
……と、思って友人まで誘って行ったのだが、非常に残念な内容だった。

講師が講釈慣れしていない。
そして儀式や行事に関する知識が希薄。まあ、現場にいる人間が専門家じゃないことはままあるのだが……。
その癖、やけに広範囲に全てを解説しようとする。
現代の皇室の行事で、自分が携わったことだけ講ずれば良いものを、神武から今上まで皇室の歴史について語り始めて1時間も使いよった。
余りの冗長さにオレは途中で眠ってしまったのだが、起きて聴いていた友人曰く、「話が飛び飛びで配布資料の何処見ればいいやら」。
結局、時間切れな上にグダグダなまま講演は終わった。聴講料の千円返して欲しい。

そして質問タイム。
オレはこの質問タイムと云うのが大ッッ嫌いなのだ。
いろいろな講演を見てきたが、大体の場合質問タイムは、内容をきちんと把握できていない輩が演目と関係の薄い質問をするか、メモ魔が聞き逃しを取り戻そうと講演内容を反復させるか、自意識過剰な人が滔々と持論を述べる(政治に関する講演に多い)かで、概ねKYの放言に費やされるのだ。
案の定、メモ魔の爺さんが「さっきの○○は西暦何年でしたかの」とか、「その次の○○天皇は何代目でしたか」とか、それくらいググるか家で辞書索けよ、モーロックめ。
それが延々続いた後、二人目。ホワイトボードの誤字を指摘していた。まあ、KYじゃないが、正直どうでもいい。

そして三人目の質問者。ここから逆転サヨナラが始まる。
質問者は最後列に座っていた女だった。
「あのー、余り今日の内容とは関係の無い話なんですけど、天皇陛下にお手紙を書きたいのですが、何処に送れば良いのでしょうか?」
すると講師は「千代田区千代田1−1で、一応皇居には届きます。ただ、陛下宛ての一般郵便は侍従長が目を通し、その上で陛下にお見せするのかを決めますので……」と答え、「どのような手紙を送ろうとしているのですか?」と聞き返した。
すると女は、事も無げにこう答えた。

「最近、日本と中国の間が、貿易摩擦とかで険悪じゃないですか。そこで事態を鎮める為に、陛下に中国へ謝罪に行って頂きたいのですよ







 ( ゚д゚) ポカーン








……この女……、もしかしてとんでもないアホ?

余りのことに、聴講者全員が質問者を振り返った。
オレに至っては、凍りついて、振り向くことすらできなかった。
もしかしたら、「郵便ポストが赤いのも、今日の天気が悪いのも、全部天皇制が原因だ」とか考えている重度のサヨクなのかとも思ったが、雰囲気とか、そもそも皇室の文化に関する講演に参加している辺り、そうではないだろう。多分、空前絶後のド天然物のアホなんだろう。

講師は「あー……っとですね、天皇陛下と皇室には何の政治的権限も無いんですよね。まあ、外国から来た大使とかが時々いろいろお願いをしてくるんですけど、全てお断りしているんですよね……」と、やんわりと答えていたが、突っ込む所は多分そこじゃない。
つーか突っ込み所が多過ぎて何から突っ込んでいいのかさっぱり解らん。

天皇の権限の無さ、天皇が謝罪することの重大さ、日本の謝罪外交、特定アジアへの謝罪の効果(無効っぷり)、最近の日中関係がこっちから謝罪するほどなのか……。
多分、この空前絶後のアホ女は、今まで何一つ見聞きもせず考えてこなかったのだろうか。
よもや、餃子のメタミドホス今上天皇が直々に入れたとでも思っているのだろうか。
仮に「サヨク」と呼ばれる人種でも、こんな提案はしないだろう。


がっかりがミルフィーユのように折り重なった夜だった。



※基本的にこのブログは、扱う現代ネタに沿った文献を引用すると云う縛りをかけていましたが、今日ばかりはムリ。